大判例

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東京高等裁判所 昭和62年(ネ)1304号 判決

主文

本件各控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

理由

一  当裁判所は、控訴人らの本訴請求はいずれも失当として棄却すべきものと判断するが、その理由は左のとおり附加、訂正するほか原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決七枚目裏六行目「甲」のあとに「第一、」を加え、一〇行目「証人」を「原審及び当審証人」と改める。

2  同八枚目表六行目「受けていた。」のあとに「控訴人博司は昭和五三年一二月二〇日、株式会社京和アートが被控訴人協会から融資を受けるに当り、同会社のため本件土地に極度額一二〇〇万円の根抵当権を設定し、控訴人らは本件建物新築後の昭和五七年二月二五日、さらに本件建物に右と同内容の根抵当権を設定していた。」を加える。

3  同八枚目裏七行目「支払う」のあとに「、また本件建物の建築残代金を控訴人らに代わつて支払い、右残代金債務を担保すべく本件土地及び建物に設定されていた、権利者を殖産住宅相互株式会社とする抵当権を消除する」を加え、同行末尾に「(なお前記根抵当権設定登記は昭和五九年七月二〇日、解除を原因として、また右抵当権設定登記は同年九月二八日弁済を原因としてそれぞれ抹消登記されている。)」を加える。

4  同九枚目裏三行目「返済」のあとに「や人件費その他の諸経費の支払」を、七行目「認められ、」のあとに「これに添わない前掲証人近藤吉仲の証言は前掲各証拠に照らして措信できず、他に」を加える。

5  同一〇枚目表七行目「証拠はない。」のあとに「また、控訴人らは、佐藤において訴外会社がたあみなる東京に対し五〇〇〇万円の債権を有していたが、たあみなる東京の倒産により、右債権が事実上回収不能となつた事実を熟知していた旨主張するが当審証人近藤吉仲の証言中これに添う部分は当審証人佐藤達雄の証言に照らして直ちに採用できず、他に右事実を認めるに足りる証拠はない。」を加える。

6  同一一枚目表末行「原告らは、」から「について」までを「控訴人らは、訴外会社がたあみなる東京に対し五〇〇〇万円の債権を有していたが、同会社の倒産により、右債権が事実上回収不能となつたことを佐藤において熟知していたし、仮に右事実を知らなかつたとしても、佐藤は訴外会社がたあみなる東京に対し融資をしていた事実を知つていたのであるから、右融資の実態につき念入りに調査すべきものであるとしたうえで」と改める。

7  同一一枚目裏六行目「法理上」から九行目「のみならず」までを「佐藤において、訴外会社がたあみなる東京に対し五〇〇〇万円の債権を有していた事実を知らなかつたことは前記のとおりであるし、当審証人佐藤達雄の証言によれば、佐藤は訴外会社とたあみなる東京との間に金銭上の取引関係のあることを聞き知つてはいたが、その内容も単に訴外会社がたあみなる東京に一時的かつ少額の貸付けをしているという程度にとどまることが認められるのであるから、たとえ本件融資前にたあみなる東京の倒産の事実があるにせよ、右程度の認識のあることから直ちに被控訴人銀行において控訴人らの主張するような念入りの信用調査を尽すべき義務があるものとは解せられない。のみならず、原本の存在および」と改める。

8  同一二枚目表六行目「いるのであり、」のあとに「被控訴人銀行として融資に当り通常求められるべき調査を実施しているのであつて、」を加え、「重大な」を削る。

9  当審における控訴人らの主張について判断する。

控訴人らの主張は、要するに、控訴人らは近藤吉仲と被控訴人銀行との共同不法行為によつて本件土地及び建物に根抵当権を設定する羽目に陥り、被担保債権と同額の損害を被つたものであるから、右損害賠償債権をもつて本件被担保債権と対当額で相殺する旨の意思表示をしたというものであるが、前記のとおり被控訴人銀行の調査に過失は認められないから、控訴人ら主張の自働債権の発生する余地はなく、それゆえ右自働債権の存在を前提とする控訴人らの主張は理由がない。

二  よつて、原判決は相当で、本件各控訴はいずれも理由がないからこれを棄却する

(裁判長裁判官 秋吉稔弘 裁判官 山中紀行 武藤冬士己)

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